国道296号を船橋方面から車で走っていると、コープの手前あたりの左側(村田レディースクリニックの斜め左前)に一見何のお店だか分からない建物があるんですが、つい最近ここが蕎麦屋だということに気付きました。
大きな看板には「SAGE」という文字と、なぜかコアラマーク。
サゲ?・・・読めない店名の傍らに、「こだわりのそば セイジ」と書かれたのぼりを発見!あ、蕎麦屋だったのね。“セイジ”と読むのね。でもなぜコアラ?
洋風建物の壁にはキーコーヒーのマークが付いた「そば うどん レストラン セイジ」という看板も立て掛けてあって、本当のところ一体何屋なのか・・・?

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※2008年4月に見かけたときは、なんと看板からコアラが消えてました!代わりに蕎麦屋っぽい緑系の四角い看板に、しっかり「そば」の文字。これなら迷わず入店できそうです。でも、個人的にはあのコアラも好きでした。

こんな興味をかき立てられるお店に足を運ばないわけにはいかない!とばかりに、先日296号の渋滞を抜けてお昼過ぎ頃行ってまいりました。
店の横には停めやすい駐車場が10台分ほど確保されていますが、数台車が停まってます。正午でもないのに、結構人が入っているのかしら?

ドキドキしながら入店すると、レトロな雰囲気の洋風造りな店内で、紺色の長椅子と白い木製のテーブルでレイアウトされています。中央にあるひょうたん型のテーブルがカウンター代わりの一人席で、これを囲むようにボックス席が禁煙・喫煙それぞれ4~6箇所ほどあるかなり広めのお店。
外観からはちょっと暗めのイメージでしたが、窓が広く取ってあるせいかとても開放的な明るい感じです。
しかも、天井のシャンデリア、クラシックのBGM・・・。まさにここはレストラン!なのに、メニューの中身は蕎麦屋??しかもかなり本格的タイプの・・・。

メニューは写真入りで補足説明が多くて、どれもおいしそうです。そのことだけで選びきれず迷うのに、同じ天ざる蕎麦でも「上」「並」とかじゃなくて、野菜6種類で850円の“ゆり”から大エビ2本+野菜4種で1,550円の“松”まで4パターンと、さらに名物天ざるがあったり、天ざるだけで1ページ費やすほどのバラエティ豊かなメニューの数々。
さて、どれがおいしいんだろう?
迷った挙句、店員さんにオススメを聞いてみることに。
「鴨せいろ(950円)はオススメですね。あと、こちらの天ざる蕎麦のうち、八千代名物として“やちよ蕎麦の会”に所属している店舗さんが競って作っている黄金(こがね)天ざる蕎麦(1,050円)もいかがですか?
他には、しょうが風味の特製タレを使っている天丼(1,100円)もおいしいですよ。これはご飯の量が少なめになっているので、ミニワカメうどん付きAセット(プラス150円)にしてもいいと思いますよ。」

鴨せいろ?
店員さんに聞かなければ注文しなかったであろうラインナップに戸惑いを感じながらも、せっかくだからその3品を素直にいただくことに。
ついでに、メニュー上でかなりおいしそうに書かれていた蕎麦アイス(200円)と、おはぎ(200円)をそば茶セット(プラス200円)でデザートにつけてもらいました。

店内にはわりと中高年の夫婦や常連っぽい男の人が多くて、あんまり若い人は見当たりません。お子様セットもあるんですが、結構人はいるけれど店内の静かな雰囲気を思うと、小さなお子様向けとは言い難い感じかも。
うっかり看板のコアラマークがファミレスを彷彿とさせるんですが・・・どっちかと言えば、ファミリータイプというよりはゆっくり大人が食べに来るお店といったとこでしょうか。

ほどなくして、まずは鴨せいろが運ばれてきました。

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鴨南蛮と鴨せいろの違いがイマイチよくわかってなかったんですが、“せいろ”の方はあったかいつゆに冷たいお蕎麦をつけていただく「つけ麺タイプ」なんですね。
ざるに盛り付けられた蕎麦は、固まって取れるようなことはなく、小分けに程良く箸で取り分けられます。これをつけ汁に入れて一口いただきましたら、まー!この鴨せいろ、すっごい濃厚で超ジューシー!!
豚肉の脂のような旨みを感じさせるつゆは、口の周りにまとわり付くような油分タップリタイプなのに、全然それが心地よく思えるんです。食べた後は口の中がサッパリするというか、ちっとも臭みとか嫌なものが残らない絶妙なつけ汁!味は甘くない醤油系で、かつおと昆布のそれこそシンプルな感じなんですが、この鴨が入ることによってここまで濃厚になるんだろっか?
あまりに驚いて、つい店員さんに「この濃厚さは鴨ですか?」と尋ねてみたんですが、こちらのお店では本鴨ではなく合鴨を使っているんだそうです。
本鴨にこだわるお店もあるそうですが、ちょっと獣くさくて日本人には合わないような気がして、合鴨をあえて採用されたんだとか。しかも、本鴨は脂ののりが悪いこともあって、たくさん肉を入れて味を出すため、つけ汁が肉だらけになるところ、脂ののりが良い合鴨ならこうした濃厚なつゆを少量の肉でも作り出せるんだそう。
ちなみに、蕎麦は冷たい方が香りが楽しめるそうですが、鴨南蛮のように初めから汁に浸かってしまうと鴨汁に負けてしまうので、せいろの方がオススメなんだとおっしゃっていました。
いや、まじうまいっす。「鴨せいろー???」と私が美味しい!と言った後まで疑心暗鬼状態だったなび夫さんも、すっかりとりこになってました。

続いて到着したのは黄金天ざる蕎麦。かき揚げがおっきーい!!

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厚みが6cmほど、直径は7~8cmはある円錐型のかき揚げです。具は小エビとホタテの貝柱、そして輪切りのオクラが入ったシンプルなものですが、こんなに大きいのに中までサックサク!家では絶対真似できない仕上がりです。

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はじめに添えてある抹茶塩を付けてそのまま頂いて、かき揚げが冷めてきたころにめんつゆに浸しながら蕎麦とともに食べるのが2度楽しめて良いとメニューに併記されてましたが、もう熱々のうちに全て食べてしまいそう!
こんなに量が多いわりには胸やけしてこないんですが、その秘密は揚げ油。香りのある天ぷらにこだわってごま油で揚げるところもあるそうですが、こちらでは綿実(めんじつ)油という体に良い高級な油を使用して、サラッとカラッと揚げているのでもたれないらしいです。
また、コーンスターチなどの混ぜ物もしていないのでサクサクっとした食感が楽しめるんだそう。

このサクサクの感じで、天丼が来るのかな?とイメージしていた矢先に到着した天丼Aセット。おっと、かき揚げとはなんだか様子が違いますね。

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すでに特製タレがタップリかけられたひたひたのエビが2本と、ナスの揚げたものが脇に乗っているんですが、かき揚げの衝撃同様エビが大きい!
尻尾がはみ出たエビは、衣だけで大きく見せているわけではなく、ちゃんと身がしっかりしたボリューミーな良品です。
しょうが風味のタレが甘辛くてパンチの効いたしっかり味!ご飯にもタレが少し染みてて先に上物を食べてしまったとしても大丈夫。
なすもしっとりしているんですが、ぐじゃぐじゃで水っぽいわけではなく、彩りもきれいな紫のまま。どうして家ではこうならないんだろう・・・?

ちなみに、お隣に並んだミニワカメうどんなんですが、付けて良かった!むしろちゃんと正規の一杯が食べたい!と思えるベストチョイス。色が濃い目のダシで、うどん自体もほのかに茶色がかっているんですが、茹で過ぎているわけではなくもちもちっとして蕎麦とはまた違った美味しさがあります。
それに、天丼が甘辛かったのに対してサッパリ醤油系のシンプルテイストがなんとも絶妙なバランスなんです。ご飯も少なめだし、店員さんの言うとおりセットにして正解。

すっかりお腹も満足してきたころに、シメのデザートをそば茶とともに頂きました。こちらがこのお店オリジナルの蕎麦アイスです。

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米本あたりの優良な牧場から採れた牛乳が道の駅でアイスになってますが、このアイスを製造する過程にこちらのセイジさんが蕎麦粉を炒ってわざわざ持ち込むんですって。牛乳アイスとマッチングされた特製蕎麦アイスは、道の駅にあるレストランで出すことはなく、全てこのセイジさんでのみ販売されているそうです。
実際食べてみると、小豆アイスみたいな風味です。濃厚なんですが後味はサッパリしていて、すっきりと甘さが消えます。口のなかに粉っぽい感じが少ーし残りますが、これが蕎麦粉なんですね。とってもやさしいお味です。

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こちらのオススメおはぎも、極端に甘くない自然な風味のものでした。メニューには、“もち米には北海道産の最高級もち米「白鳥」を使用。小豆にはふっくら柔らか十勝産小豆を使用”と書かれていましたが、手作りだけあって市販の人工的な感じがありません。
なんか、どこかごま油なのか蕎麦の香りなのか、香ばしい風味があんこから漂うんですが、これも蕎麦屋のおはぎならではなんでしょうか??
ちなみにこちらのおはぎはお持ち帰りも可能です。

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そして、スイーツ達とともに韃靼そば茶を頂きました。本当に、そば茶は香りが良くて緑茶とかと違った美味しさが楽しめていいですよね。あまりポットで頂いたことがなく、どんな中身なのか開けてみたら黄色い粒々が入ってました。こんなのからこんな色が出るんだー!と少し感激。
しかも、そば茶は4煎まで色が出るらしく、お代わりを注文すれば無料でお湯を足してくれるそうですよ。
これもレジで一袋550円で購入できるみたいです。他にもレジには蕎麦ふりかけや、(なぜか)琉球もろみ酢などの健康食品が販売されていました。

今回は本当にどのお料理も想像をはるかに超える美味しさで、リピーターになること間違いなし!のお店だったんですが、あとひとつ、なんでコアラマークなのかを聞かずにはいられず、つい尋ねてしまいました・・・。
「いやいや、このお店を始めた昭和59年に、名古屋の東山動物園に初めてコアラが来たんですよ。そのかわいさに私も気に入ってしまいましてね・・・、マークにさせてもらったんです。」

洋風の建物なのも、蕎麦屋なのにのれんが無いのも、このお店のご主人が「蕎麦屋っぽくないレストラン風な場所で蕎麦を提供してみたい!」という強い希望があってのことなんだそうで、食材だけではなくお店のコンセプト全般にまでこだわりを持つ、とっても面白いお店でした。

一見入りづらい系のお店ですが、思い切って入店してよかった!とくに鴨せいろ、ぜひお試しくださいませ。

●蕎麦れすとらんセイジ 047-450-3033
千葉県八千代市大和田新田926-8(地図
営業時間/11:00~15:00、17:00~21:00
定休日/木曜日
※出前有り(大和田新田〔含む 緑ヶ丘〕、高津団地の一部)
※アイスのクーポン券のある「食べるやちよ」掲載ページはこちら→http://www.yachiyo-gourmet.jp/soba/seigi/index.html
※ホームページ/http://www.geocities.jp/sobasage/