【追記】2013年3月3日
以前は予約注文の引き渡しがメインでしたが、現在は店頭販売(水・土・日)及び市内3店舗での委託販売のみの取り扱いになりました。詳細はレポート末尾の追記にて紹介しています!

2012年3月21日
日本で「フランスパン」と言えば、あの細長いパンをイメージする方がほとんどだと思いますが、本場フランスで親しまれているのは、見た目がまるまるっとして大きな固まりのようなboule(ブール)の形なんだそうです。
そして日本で手軽に買えるものと大きく違うのが、パン・オ・ルヴァン(自家製培養酵母で作って天然熟成されたパン)であるということ。

よく都内なんかだと、パン・オ・ルヴァンとして置いてあるものは、平気で500円後半~1,000円とかするし、通販だと1,500円とか2,000円もするものが人気商品として出回っているほど、ちょっと高級なパンとして位置づけられていますよね。
フランスの旅行土産としても喜ばれ、わざわざ持ち帰るほどなんですってー!

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↑ 日本でこの形のパンと言えば“パン・ド・カンパーニュ”が多いかと思いますが、カンパーニュはライ麦や精製度の高くない小麦粉を使っていて切り口が茶色っぽい、いわゆる「田舎パン」。今回のパンは断面が白く滑らかな舌触りのものです。

そんなパンを、物心がついたころから日常的に食してきたのが、今回ご紹介するベーカリーのオーナーthierry(ティエリ)氏。フランスの山間にある町Oisans(ウワザン)ご出身で、お住まいのすぐそばに美味しいフランスパンの店があったんだそうです。自然とパンに対する感覚が豊かになり、その後もフランスで美味しいパンを色々と口にしてきたとのこと。

『本場フランスで親しんだ、本物のフランスパンの味を日本でも食べたい!!』

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↑ オーナーのティエリ氏。

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そんな思いから、本場の作り方で再現したベーカリー「France Pain(フランスパン)」を開店!
早速こだわりのパンづくりを拝見してきました!

お店の場所は、八千代市内の吉橋。
八千代西高校のすぐそばにあるのですが、私はトライアルや石井工場の前の道(61号)を使って、下の地図にあるようなルートで向かいました。
もしかしたら緑が丘方面から向かうときは、緑が丘小学校の裏の道を進んだ方が行きやすいかもしれません。


大きな地図で見る

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↑ 県道61号を、島田台方面に向かって道なりに進みます。川を越える手前の信号(61号の途中にある、吉橋八幡神社を過ぎた先の三叉路にある信号から数えて2つ目です)を左折します。ちなみに、ゆりのき方面からだったら、睦にある山田うどんの交差点を左折して、61号を道なりに向かうのが分かりやすいかしら。

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↑ 左折の場所の目印になるのが、左にある「八千代西高等学校」の看板。
(この道をまっすぐ進んだ先の交差点右側に山田うどんがあります。)


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↑ しばらく道なりに進んでいきます。

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↑ 途中、「湯浅牧場」の緑色看板を過ぎた二股に分かれる道を右折。

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↑ 右折後、少し蛇行した道を進み、坂を下っていくと・・・

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↑ 左手に八千代西高校が見えてきます(左写真)。少々道幅が狭くなりますが、さらにもう少し道なりに進みます。

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↑ 古峯神社の朱色の鳥居の手前を右折します(やや急カーブなうえに、低いブロック塀があるので要注意です)。鳥居前に立つフランスパンの案内看板が目印になります。
ちなみにこのまま左折した先は、緑が丘小学校の前あたりの道路につながっています。


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↑ 畑とお墓の間の道を抜けた先がお店です(右写真は、店舗側から撮影したものです)。

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ティエリ氏が最初に手掛けたのが、納得のいく自家製培養酵母を作り上げることでした。
フランスの伝統的な製法で作られるこのパンですが、酵母の作り方やパンの仕込み方は多種多様。例えば日本で「肉じゃが」といっても、家庭によって全然違う味わい・食感・風味のものが出てくるように、レシピが山のようにあるんですって!
そこで、まず自分がうまい!と思うフランスパンに仕上げるべくレシピを研究。4年をかけて、オリジナルの自家製酵母を完成させたのです。

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さらにもうひとつのこだわりが、パン焼き窯。
本場で使われているのは、ローマから伝わった製法をフランス人の知恵で改良した窯だそうですが、焼き方ひとつで味わいに大きく違いが出るため、窯まで手作りしてしまったんですって!!
八千代の吉橋で藁を入手し、高本村で土粘土を採取。
レンガを積み、パン工房の内装から煙突、キッチンまですべてを、オーナーが半年かけて完成させました!

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↑ 「パン焼き窯を手作りした」と伺ったのですが、まさかここからとは・・・!

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↑ 窯の断熱材に、八千代の藁と土粘土が使われています。

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↑ 完成するまでに、半年かかったそうです!!

完成した工房で作られるフランスパンは、現在4~5種類ほど。
スタンダードな「山パン」を基本に、パン・オ・ルヴァンでは珍しく「トマトパン」や「海藻パン」などバリエーションが用意されているんですが、ドライイーストや他の酵母、ベーキングパウダーなどを一切使うことはなく、自家製天然酵母のみで作られています。
この自家製天然酵母は作り置きをしたりせず、注文を受けてから仕込み始めます。
窯に入れる準備が整うまでに48時間かかるため、パンはすべて予約制!2日前までには注文しないと希望の日にちに間に合わないんです。2013年3月現在、予約は不要になり水・土・日に店頭販売しています(7:00~17:00)
丁寧に仕込まれたパンは、時間をかけて高温に熱した手作り窯で焼き上げられます。

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↑ 生地を寝かせるスペースも手作り。窯の奥行きは、男性が縦に寝られるほど!180cmほどあるんだとか。

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↑ 窯の中には蒸気が出るような設備も。

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↑ パンを窯に入れたりするあらゆる道具まで、すべてオーナー手作り。

そうそう、このパン・オ・ルヴァンって、ビックリすることに焼きあがってすぐは食べないんですって!
オーナー曰く、酵母によるガスが焼き上がり時にはたくさん含まれているので、すぐに口に入れるのはあまりよろしくないんだとか。ご自宅で食べるときにも、焼いてから最低6時間は置いているそう。

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昨晩焼き上げたという、一番シンプルな「山パン」をお味見させていただきました!

販売しているサイズより小ぶりな、子供のグーくらいの固まりをひとつオーナーから手渡され『手でちぎってみて』と告げられました。
ぐぐぐ!っと親指に力を入れ込んで、ようやく割れ目が出来るくらいに固いー!

でもそれは、一番最初だけ。

一度ちぎれ始めれば、スッと簡単にパンが離れます。
弾力がありすぎてパンが伸びながら切れることはありません。
これも天然酵母パンの特徴なんだそう。

『イーストで出来たパンは粘りが強い傾向があります。ゴムみたいな食感の、あごが疲れてしまうようなフランスパンを食べたことはないですか?このパンが固いのは、丸のままのパンを手で裂き始めるときだけ。あとは割とらくにちぎれますし、噛んでいてもチューインガムのようにいつまでも口に残ったりしません。だから、小さなお子さんからお年寄りの方まで、幅広い年代の方に召し上がっていただけるのです。素材は体に良いものだけですから、フランスでは赤ちゃんの頃からこのパンを食べますよ。』

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↑ “フランスパン”と聞くと空洞が多いイメージがあるんですが、中は結構ぎっしり生地が詰まっています。

生地はしっとりしていて柔らかく、確かにゴムのような伸びる感じはありません。ちぎりとるときの様子は、イメージ的に蒸しパンのような、外郎(ういろう)のような・・・。
手触りから想像していたほど皮は固くなく、噛み切るときに少し歯ごたえがあるものの、もぐもぐしているうちにすぐ馴染んでしまいます。
小麦の風味が広がる中で、軽やかな酸味が舌でふわり。

この酸味は、天然酵母独特のものなんだそうです。

一般的にはパン・オ・ルヴァン=“強い酸味”が特徴、なんて言われているようですが、これは使う酵母によっても差があるそうです。オーナー自身、あまり酸味の強いパンを好まないということもあって、日本人にも親しみやすい酸味の柔らかな天然酵母パンを目指したとのこと。

『オススメな食べ頃は、1~2日置いてから。ワインは最初酸味が強いですが、熟成するに連れて味わいに深みが出てきますよね。同じように、天然酵母フランスパンも日が経つごとに酸味が抜けていくんですよ。普通のパンは水分が抜けて数日後にナイフを入れることも難しいくらいですが、これは10日経っても多少は固くなるものの弾力が失われません。酵母は息をしている“生もの”なので、プラスチックなどに密封するのはNG!出来れば布巾などに包んで、面倒ならそのまま紙袋などに入れて常温保存してください。』

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↑ 普段は後からナイフを入れられないので、買ったその日に切り分けて冷凍保存してしまうのですが・・・こちらは食べるたびに端からスライスして、出来るだけ断面が少ない状態で保存するのがコツ。
実際に3日後、10日後と経ったものを試食しましたが、10日後は酸味がほとんど抜けて素材の味わいが堪能できます!


さらにさらに、イチオシの食べ方は厚めにスライスしたものを軽くトーストし、チーズやハムなどと一緒にいただくというもの。
早速持ち帰って試してみることに!

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↑ 片手が隠れるほどの大きな「山ぱん」。端からスライスしてトースターへ。

こ、これは!!!

断然トーストしたほうが、風味、食感、何から何まで格段にレベルアップ!!!

何よりこの香りときたら!
トースターから取り出してすぐになび息子たちが集まりだしたほど。
ああ、数枚そのまま焼かずに頂いてしまったのが、もったいない・・・。

表面がほどよく色づきパリッ!カリッ!と弾む食感に、対して中身の生地は弾力がぐーっと増して、理想のもっちり加減へ。トーストする前と比べて、随分と食感が変わりました。
香ばしさに隠れてか、酸味も抑えられてほとんど気にならなくなりました。

サラダを乗せたり、ワインなどと一緒に楽しむなら、焼かずにそのまま頂いたほうが合うかしら?
その時々の調理法やお料理の組み合わせによって、厚みや焼き加減を変えると良さそうです。

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「France Pain(フランスパン)」で扱ってるのは、現在この一番ベーシックな山パンのほか、トマト・オリーブオイル・ハーブを加えた「トマトパン」や、海苔・わかめ・昆布・オリーブオイルを加えたという、何ともお味が気になる「海藻パン」。
そして千葉らしさを!ということで、ピーナツ・レーズン・オリーブオイルを加えた「千葉パン」が用意されています。
そのほか、同じく自家製天然酵母で作ったフランスケーキ「ブリオッシュ」も販売されています。
※2013年3月現在、30~35種類にまで増えました!週替わりで5~6種類が登場。どのパンが店頭に並ぶかはティエリ氏のお任せになります。

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↑ 山パン(450円)

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↑ トマトパン(550円)

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↑ 海藻パン(550円)

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↑ 千葉パン(650円)

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↑ ブリオッシュ(ホール/1,200円、1カット/150円)

店頭販売は毎週水曜日と土曜日。さらに日曜日は無人ですが販売しています。
それにしてもあのトースト、衝撃的だったわ。
もう一度食べたいー!

【追記】2012年3月25日
以前は「酵母を仕込む都合から引き渡し希望日の2日前には注文を済ませないと手に入れられないというレアなパン」ということで、完全予約制だとご紹介していましたが、水曜日と土曜日の9:30~17:007:00~17:00に新設されたカウンターで直接購入できるようになりました!
この日はもうすっかり売り切れ間近でしたが、トマトパンと千葉パンを無事購入。
さっそくまた厚めにスライスして、トーストで頂きました!

トマトパンは酵母独特の酸味とトマトの酸味がベストマッチ!
バジルの風味も豊かで、サラダにもよく合いそう。
他にも肉系のがっつりしたメイン料理に添えてみたくなりました。

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↑ オーナーは、ランチやディナーのお料理のときに好んで食べるそうです。

レーズンとピーナツが入った「千葉パン」は、レーズンパン的な感じなのかと口にしたら、思いのほかピーナツの風味が最初にやってきました。
ピーナツというより“落花生”と表現したくなるような、独特の日本的な空間を彷彿とさせる香ばしさ。最初は少し違和感がありましたけれど、何度か口にしているうちにクセになるような・・・。
オーナーが『チーズと良く合う』とおっしゃっていたので、シンプルなクリームチーズを添えてみましたら、この独特の香りに軽く酸味とまろやかさが加わって、味わいが一段上へと昇華した!
レーズンのこっくりした甘味も楽しいけれど、ナッツの食感と風味がかなり印象的なパンです。

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↑ レーズンの甘さがモーニング向け。

厚めに切った一切れは、結構ボリューミー。
お友達へのおもたせなどにもオススメですよ!


【追記】2013年3月3日
オープンから丸一年。
すっかり固定客もつくほどの人気で、この日も取材に伺っている間ひっきりなしにお客さんがいらっしゃるほど!ご近所だけではなく、遠方からも皆さん車でいらっしゃるとのこと。
「他には無いパンでまた食べたくなるものだから、ついつい買いにきちゃうのよ。」なんて声も!
年齢層も幅広く、小さなお子さんがいらっしゃるファミリーもいれば、ご高齢の夫婦も。中には学生さんもちゃちゃっと買いに来ていて(しかもリピーターらしい)、その評判の良さにあらためて驚かされました。

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↑ 土曜日の午後13時半頃。パンの品揃えや数量は、時間によってばらつきがあります。

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↑ 店内は限られたスペースで、3組ほどお客さんが入ったら一杯!

最近は予約注文や配達は無くして、すべて店頭販売のみに切り替えているとのことでした。
ティエリ氏が店頭に立つのは、水曜日・土曜日の週2日。日曜日も営業していますが、レジは無人のためカウンター隅に置いてある「レジボックス」にお代を入れていただくスタイル。

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↑ 店頭に立つティエリ氏。お店の中は故郷Oisans(ウワザン)の美しい景色などの写真がたくさん!

固定していたパンメニューも、今では30~35種類にまで増えたとか!
山パンとトマトパンは固定メニューですが、その他は週替わり。全部で6種類くらいのパン・オ・ルヴァンに加えて、ブリオッシュとパウンドケーキが店頭へ並びます。お好みのパンが並ぶかどうかは運次第!ちなみに現在は、種類を指定しての予約注文は出来ないのでご注意を。

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↑ その日に用意しているパンメニュー。その他のメニューも、ファイルにまとめられていました。どれも素材はシンプル!原材料がはっきりしているから安心だし、アレルギーチェックもしやすいですね。

その他、市内3か所で委託販売も始めているんですって!
八千代緑が丘駅前にある農産物直売所「まちの駅 八千代緑が丘店」と、成田街道沿いにある同じく直売所の「やちよの駅 わくわく広場」、そしてお馴染みの生鮮食品店「マルエイ八千代店」です。
お店で販売している水・土と同じ日に各店舗へ納品しているので、種類も内容もすべて同じ!
店舗までは車がないとなかなかアクセスしにくいですが、ぐっと手に入りやすくなった「ふらんすぱん」を、ぜひ一度召し上がってみてはいかがですか?

●France Pain(フランスパン) 047-429-8207
千葉県八千代市吉橋2825-2(地図
【駐車場】有り(2台)
【営業時間】水曜日・土曜日・日曜日/7:00~17:00
※日曜日は無人レジでの販売となります。専用ボックスに代金をお入れください。
※8月は天然酵母が作れないため1か月間お休みになりますのでご注意ください。

【委託販売先】まちの駅 八千代緑が丘店やちよの駅 わくわく広場マルエイ八千代店
※販売日は、水・土になります。
【ホームページ】http://www.furansupan.jp/index.html